社団法人 横浜青年会議所
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理事長所信
心つむぎ、一歩前へ。
2008年度社団法人横浜青年会議所
理事長 板橋由紀
いま子供たちの中で何が起きているのか
 天空に舞う大輪の花火、夜空を駆けるレーザー光線、歓声と拍手。26年分の汗と笑顔と涙が織り上げた開港148周年の横浜開港祭は大きな感動を私たちの心に残して無事に終わりました。実行委員長として走り回った2日間、すでに疲労はピークに達していましたが、会場を埋め尽くした多くの方々の笑顔に励まされ、なんとか最後まで務めることができました。特に子供たちの姿には勇気づけられることが多かったような気がします。楽しそうにはしゃぐ笑顔、出番を待つ真剣な瞳、力いっぱいの泣き声にまで、弾けんばかりのエネルギーに満ちあふれた子供たちで臨港パークは輝いていました。
 そんな元気な子供たちを眺めながら、「この子たちと、犯罪に手を染めるような子たちとは、どこに違いがあるのだろうか?」と私はひとつ、疑問に感じました。少年の凶悪犯罪やいじめによる自殺、不登校といった問題が、テレビやニュースで毎日のように伝えられ、大きな社会問題になっています。その要因として考えられるのは、少子化問題や共稼ぎ世帯の増加・核家族化などの家族構成の変化などが指摘されております。また、携帯電話やインターネット・ゲームの普及による社会環境の変化が子供たちに悪影響を及ぼし、自主性の乏しさや他人との関わりの希薄さなど成長の過程において、危機感を感じます。今、子供たちのこころの中に何が起きているのか。
私たちは次世代を担う子供たちに、道徳心と自律心を育むプログラムの実践において、自信と誇りに満ち溢れた『はまっ子』の育成に努めてまいります。
関わるということ、つなぐということ
 近所の子供を怒鳴りつけるカミナリおやじを見かけなくなってどのぐらい経つでしょう。悪いことは悪いときちんと教えてくれたかつての大人たち。近年、横浜JCはもとより、日本JCをはじめとする多くの青年会議所でも指摘されているように、子供と大人との関わり、ことに子供と地域の大人との関わりが希薄になってきています。私たち大人は子供とどのように関わっていくべきなのでしょうか。子供は未熟です。善悪の判断もままなりません。悪いことをしても叱られないし、テレビでは大人が悪いことをしたニュースばかりが流れる。そんな環境で育てば何が善で何が悪なのか判断のつかない人間になるのもいたしかたないという気持ちにさえなります。私たち大人は、世の中にはしてはいけないことがあるのだということを、体を張って子供たちに教えなくてはなりません。それが子供の規範意識を育てることになるのではないでしょうか。
いまから約700年前、朝廷と幕府が対立しているという不自然な状態を打開すべく建武の中興を断行された後醍醐天皇は、人心が乱れていく過程を次のように説明されました。
「堅き氷は霜を踏むよりいたる習いなれば、乱心賊子と云ふものは、その始、心言葉をつつしまざるより出で来るなり。」
 世の中を乱すようなことをする者は、いきなり大きな悪事を働くのではなく、始めは考え方や言葉遣いを「慎まない」ようになり、それが後に大きな悪事へとつながっていくのだということです。規範意識を育むとはまさに「慎み」を教えることに他なりません。返事をしないとか、道端にゴミを捨てるとか、日常の中での誤った行動を見逃さずに、その都度注意し指導するという地道な活動でしか規範意識を植え付けることはできません。そしてもし親の目が届かないことがあれば、地域や、学校や、そして企業もがそれをフォローする役目を果たすべきであり、そのような気運を醸成していかなければなりません。
 大人が子供と関われなくなったのは、行き過ぎたプライバシー偏重、間違った個人主義の蔓延が遠因となっているのはいうまでもありませんが、今日の社会情勢から見て取れるのは、社会環境に責任を転嫁し、次世代の育成という自らに課せられた重大な責任を放棄してしまった情けない大人たちの姿です。子供の教育に自信が持てず尻込みする大人、進学にしか教育の目的を求められない大人、逆に教育の目的を見い出せず放任してしまう大人。戦後62年間で変わってしまったのは、子供たちではなく他ならぬ大人たちです。大人たちの教育理念や教育に対する責任感の欠如が、「すべきこと」と「してはいけないこと」の区別がつかない子供を大量に生み出す原因となっていったのです。
今こそ、子育て世代の私たちが真剣に考え、行動していかなければならないのではないでしょうか。
一方で社会経済の変化・人口の増加や市民ひとり一人の多彩なニーズや価値観の広がりから地域の連帯感の希薄化などが問題をもたらしています。社会を取り巻く環境が大きく変化する中で市民が安心して暮しやすいまちづくりを行うには、環境・防犯・防災・子育・福祉・保全など多くの課題に対し、私たちがしっかりとつながってゆく必要があると考えます。決して孤立してはいけないのです。子供と子供、子供と大人、大人と大人、それぞれの心と心をつなぎ合わせる努力をせず、便利で快適で自分勝手な生活に身を委ねているだけでは、やがて私たちのつながりは断ち切られ、人が人でなくなってしまうという危機感が募ります。だからこそ、青年会議所は自治体・青年会・婦人会・子ども会やNPO法人、ボランティア団体・市民活動団体と市民が力を合わせ取り組んでいく『協働』を推進していくことが重要なのです。地縁コミュニティーの活性化を図るべく、市民意識の高揚・ネットワークの構築により明るい豊かなまちづくりに寄与してまいります。
しっかり受け継ぐ しっかり引き継ぐ
 失われた10年といわれた90年代以降、青年会議所運動の大きな流れは、混迷した社会情勢を打開し、真に豊かで明るい社会を目指そうという本来の主旨に立ち返ったものであったといえるでしょう。毎年の理事長所信や会頭所信には、いまの世の中がいかに混迷の度を極めているかという現状認識が綴られ、それを打開すべく様々な方策が提言されてきました。単年度制というシステムの中で、それぞれの年度において精一杯の活動が展開されてきたことは今さら疑う余地のないところではありますが、開港150周年を目前にした今、これまでの青年会議所運動の成果をあえて振り返ってみる必要があるのではないかと感じています。これまで多くの場面で経済の先行き不透明感、犯罪の低年齢化、市民の政治への無関心、少子高齢化による相互扶助システムの行き詰まり等の問題提起がなされ、対内的にも会員数の減少、組織の求心力の低下、政策提言能力の低下等の問題が取り沙汰されてきました。しかしそれらの問題に対して私たちはどれほどの解決策を実行し、どれほどの成果をあげることができたのでしょうか。大企業が空前の利益に沸く一方で依然として不透明感が色濃い中小企業、少年犯罪の増加はいうまでもなく、官僚や政治家による不祥事も後を絶ちません。日本青年会議所より「市民意識変革運動」という次の時代をリードする新しいコンセプトが発信されて3年目を迎える今日、真に効果的な市民意識変革を可能にする事業を展開していかなければなりません。しかしながら、市民の意識を変えようとする私たちが本当にその意味を理解し、その担いを正面から受け止めることができているでしょうか。いまこそ私たちは事業のあり方、JCメンバーとしての意識について全員で議論し、開港150周年に向けての強固な基盤を作る必要があります。
JCらしく開港150周年を迎えるために
 横浜青年会議所の青少年育成事業に『はまっ子スクール』という名称が使われるようになってから今年で5年目を迎え、卒業生の総数は450名を超えました。『はまっ子スクール』の卒業生たちがどのように育ったのかを検証することは、私たちの事業の効果を測定することそのものです。5年という節目を機に、これまでのカリキュラムを精査した上で日本青年会議所の青少年育成プログラム等も検証し、取り入れるべきものは取り入れた上で、小学生はもとより中高校生にも適用でき、広く普及可能な青少年育成プログラムパッケージを完成したいと考えます。
 また子育て支援の観点から、さらには親の教育の観点から、大人も参加できる教育プログラムの開発にも取り組む必要性があります。そして横浜市全域で一人でも多くの少年が、大人が、親子が参加できる仕組みを整えることこそが、横浜青年会議所が取り組むべき最も重要な課題のひとつであると認識しています。また、開港150周年を翌年に迎える2008年は行政や関係諸団体としっかりと関係構築を図り、2009年への準備を進めてまいります。市民自らが積極的に周年事業へ取り組む環境づくりを進め、多くの市民が関わりもち、2009年をきっかけの年とし、地域間での交流や活性化の一躍を担ってまいります。
 近年、NPOや市民活動団体など幅広く活躍する組織が生まれ、「JCもある時代」という表現が使われるようになりましたが、私は少し違和感を覚えます。横浜開港祭の実行委員長という経験は、この言葉が必ずしも的を射ていないことを確信させてくれました。予定者段階から約半年にわたり、50名を超えるメンバーとそれこそ寝食を忘れて準備に没頭し、市民やシニアを含む数百人規模のボランティアが駆け付けスタッフとして活躍する。これほどの数のボランティアを動員できる団体が他にあるでしょうか。民間企業にも行政にも、そして他の市民活動団体にも決してまねができない、社会的に意義があり、手間ひまをかけなければ実現不可能なことこそ、「JCだからこそできること」であり「やらなければならないこと」だと思います。第27回の横浜開港祭は開港150周年以後を見据え、市民参加はもちろんのこと、多くの市民が参画し、横浜開港祭をともに盛り上げる祭りとし、青年会議所の存在意義を明確にしてまいります。
 青年会議所は単年度制のシステムの瞬発力が必要な事業には有効に作用しますが、持続力を必要とする事業、特に行政等に働きかける政策系の事業では、実現までのプロセスを1年間で完結させることが困難なため、制度として定着させることが難しいという欠点があります。これらの欠点を補うべく、政策提言に関しては、横浜青年会議所とゆかりの深い市民活動団体等と連携し、継続的に行政に働きかけができる仕組みを整えることも必要です。
また、運動の普及に関しても単年度制の弊害を感じますが、地域メディアとの連携を図り、効果的な運動の発信並びに普及に繋げてまいります。
市民と行政と企業をつなぎ、過去と現在と未来をつなぐ
 日本青年会議所サマーコンファレンスは約10,000名もの全国のJCメンバーが集う、いまや横浜のまちづくりには欠かせないコンベンションのひとつとなりました。横浜で開催される意味はキャパシティや利便性のみにあらず、横浜青年会議所で培われたノウハウやメンバーの心のこもったホスピタリティの成果であると考えます。今後も各地青年会議所から集まるJCメンバーが充実した横浜滞在を満喫し、それぞれのLOMにおいてサマーコンファレンスで得たものを存分に発揮できるよう、心のこもったおもてなしをいたしましょう。また、日本青年会議所が唱える『市民意識変革運動』の担い手として、積極的な『協働運動』を推進することがサマーコンファレンスを誘致し続ける意味でも重要である考えます。
 新しい時代は確実にやってきています。戦後60年にわたり日本の根底を支えてきた国家システムが、様々な環境の変化により機能しなくなり、市民と行政、行政と企業、企業と市民それぞれの関係も変化せざるを得なくなってきています。それらを新たにつなぎ直す役目も「JCだからこそできること」のひとつだと思います。多くのセクターとのネットワークを構築するには、それだけ多くのメンバーが必要です。会員数は事業規模だけでなく、横浜青年会議所の社会的影響力にも関係する重要な要素です。志を同じくする多くの仲間を迎え入れる努力を怠ってはなりません。会員拡大は会員ひとり一人が行う大切な事業のひとつであります。同時に円滑な組織運営のため、また市民意識変革の推進力のためにも会員研修の方法論を含めて再構築する必要があると感じています。
 新しい時代は私たち公益法人を取り巻く環境にも変化をもたらしています。本年いわゆる新公益法人三法が全面施行され、5年以内に所定の要件をクリアすることが求められています。本年の組織変革推進会議での議論を踏まえ、公益法人としての意義を再確認しつつ、2008年からは具体的な改革に着手しなければなりません。
今やらなければならないこと
 太宰春台の『産語』に次のような話があります。
『老人が松の苗木を植えていた。通りがかった君主が老人に年齢を尋ねた。「八十五になります。」君主は笑った。「その松が立派な木材になっても、自分では使えないだろうに」と。八十五翁は言った。「国を治めている人のお言葉とは思えませぬ。私は自分のためではなく、子孫のために植えているのです」君主は恥じ入るほかはなかった。』
 社会が進歩すればするほど、文明が発達すればするほど、ゆとりができるどころか私たちの生活はますます忙しくなっているように思います。余裕をもって青年会議所活動できる境遇にあるメンバーなどひとりとしていないでしょう。でも私たちには今やらなければならないことがたくさんあります。明るい豊かな社会のために。もしかしたら私たちはそんな明るい豊かな横浜を、生きているうちに見ることはできないかも知れません。でもそれは、いのちを受け継いで後から生まれてくる子供たちへの、先行する者の不可欠の責務だと思うのです。
 2008年は横浜開港150周年に向かっての準備を整える年ですが、それは同時に2010年以降の横浜の姿を描き出す年でもあります。このまたとない変革のチャンスを逸することなく、すべてのメンバーと志を同じくして邁進してまいります。
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