理事長所信

2013年度理事長 髙見澤尚宏

はじめに

日本の青年会議所運動は、戦後の荒廃の中から経済再建の使命に燃えた祖国を愛する青年の強い情熱が生み出した自然発生的運動であり、自主性を貫く青年らしい気概を持った青年団体として1949年に創設されました。横浜青年会議所は第二次世界大戦後、焦土と化した横浜で米軍による市中枢部の接収の中、「今後の復興は青年の力に期待したい」という横浜商工会議所の平沼亮三会頭(当時)の下、渡辺広太郎氏を初代理事長として1951年3月29日に設立、2011年には創立60周年を迎えました。

横浜青年会議所の先人達はその歴史の中で、横浜スタジアム建設や赤レンガの商業利用等、まちの活性化に繋がる数々の事業を展開してきました。その活動の根底にあったものは私達の住み暮らすまち横浜への心の底からの愛着や明るい豊かなまち実現への信念であり、現在ではそれが花開き、まちの賑わい創出に対する一端を担っている事を忘れてはなりません。

現在、メンバーの約半数が入会3年以下という構成と共に、在籍年数も浅くなってきている事も事実ですが、私の目にはその各々が青年会議所にある様々な変革の機会を自ら掴み、一人ひとりが輝いている様に映っています。「範は歴史にあり」、私は全てのメンバーへ横浜青年会議所の歴史や先人達の姿勢を伝え、一人ひとりが更にその輝きを増し、地域の若手リーダーとしての自覚を持つ事によって、組織として英知と勇気と情熱を結集させ、希望溢れる未来へ向けて道を切り開いていきます。

「明るい豊かな社会を築き上げよう」、青年会議所の基本理念である綱領の最後に書かれている言葉です。私達はこの理念の下、日々活動を続けています。私は、今こそその原点を見つめ直し、青年会議所創始の精神である「青年の力で国や地域を救おうとした激しい情熱と勇気」を胸に刻み、青年会議所運動に邁進致します。

誠道

「誠」とは武士道において至高の徳の1つとされ、侍の心髄とも言える徳であります。誠という字の通り「言った事を成す」との行動規範そのものを表す言葉であり、それゆえ武士は一度承諾した事を命に代えて実行し、ここから「武士に二言は無い」という言葉が生まれました。また、武士道では慇勤無礼との言葉もある様に、そこに心が無ければいかに形があったとしても「礼」とは認めませんでした。ともすると、うわべばかりで誠意を伴わない礼儀である「虚礼」から救うのが真実と誠実、つまり「誠」なのです。また、真実と誠実とは物事の善悪をわきまえ守らなければならい人としての心の規範であり、それは道徳とも意味します。よって、「誠道」とは人として歩まなければならない正しい道であり、生きていく為に必要な姿勢なのです。

私は青年会議所を「学び舎」だと考えています。メンバーは明るい豊かな社会を築く為、ひとづくりやまちづくりに日々邁進する訳ですが、そこには多くの人との出会いや、青年会議所運動を遂行するに当たっての苦労や挫折、そして喜びや楽しみが存在します。決して背伸びする事無くしっかりと自分達の足元を見つめ、仲間と大いに議論をしながら様々な経験を積み、一歩ずつ前へ進むことにより己を成長させる事で、それが今後の人生の糧となります。この青年会議所にはその糧という何物にも代えがたい「宝」を得る機会が多く詰まっています。

「誠」の人となるには、その機会を自らの糧とする為にメンバー一人ひとりが「真実・誠実」に何事にも積極的に取り組み、どんな状況であっても道徳心を持ってその状況と真摯に向き合いその道を歩む事が重要であり、その結果としてスキルのみならず心も成長していることでしょう。その歩むべき道は正しく「誠道」なのです。

横浜青年会議所の魅力発信

明るい豊かな社会を築き上げるには一人でも多くの同志を募り育て、私達の行っている運動を広く市民へ発信していく事が重要です。その人材を発掘する為には、メンバー一人ひとりが横浜青年会議所の魅力を認識し、その魅力を多くの市民へ伝える事により共感や信頼を得られなければなりません。

また、会員拡大の一助となる為にもWEBやメディアとの連携を通じ各事業の事前告知や事後報告に対しての対外発信を広く市民へ行っていく事で、横浜青年会議所の魅力や認知度向上に繋げていきます。

次世代を担う人材育成

「教育の原点は家庭にある」と言われますが、子どもにとって人生最初の先生は親であります。私達の年代は幼少の子どもを持つ親として、そして地域の若手リーダーとして次世代の担い手を育てる役割を持つ上でも責任世代と言えます。

親は子どもにどう育って欲しいのか、何を身に付けて欲しいのか、家族や社会が期待している人としての姿勢を自発的に動ける様に教えていく事が重要であり、その為には自らが「親とは何か」を学び、子どもへ「先生」として接していける様にならなければなりません。また、いつの時代でも、その時々の社会を支え、子どもの教育にあたるのは大人達です。私達は大人として、また地域のリーダーとして適正な「教育」を身につける事が重要であり、「決断力」「先見力」「観察力」「闘争力」「統率力」を兼ね備えた人、即ち「人間力」を高めていく事が必要です。

子どもはその時々の大人によって教えられ、育てられて成長し、次世代を担っていきます。よって、子どもに対する大人達の責任はいつの時代においても極めて重いものなのです。私は社会や集団での規範意識を絶えず持ち合わせておく事に加え、その人の人間性が生き生きと発揮され、その天分や個性が存分に伸ばされる様でなくてはならないと考えています。

未来を担う子ども達へは、規範意識はもちろんの事、住み暮らすまちの歴史や多種多様な文化、自然の魅力を伝える事がこの横浜を誇りに思えるはまっ子を育てていくと考えている為、行政との連携によりそれを感じられる多くの機会を創出できる様な運動を展開していきます。

魅力ある横浜の更なる創造

2011年3月11日に起こった東日本大震災は被災地域のみならず日本全国へその被害は影響を及ぼし、日本経済や日本人の心に大きな衝撃と悲しみを深く刻む事となりました。私はこの震災を通じ、自然は敬うべきもので、生活する上で決して逆らう事の出来ない大切なパートナーであり、自然災害は人間の力では完全に防げないと改めて実感しました。私達の住み暮らすこの横浜は大都市ながらも海や山を持つ自然の多いまちであり、「自分達のまちは自分たちで創る」という観点からも、私達は日常より積極的に防災・減災に努め、市民へその手段や手法を伝えていく事が重要です。

横浜という港町は開国当時より多くの異国人が溢れ、横浜商人と呼ばれた地方都市からの移住者と交流を深めながら独特な雰囲気のまちを形成してきました。その商人達は国内外の先進的な文化や産業を積極的に吸収しようとする「進取の気性」に富み、因習にとらわれず、それぞれの出身地の文化を横浜において融合させようとする「柔軟性」を作り上げてきました。その良い循環が新しい物を真っ先に受け入れる横浜人気質となっていったのです。そんな横浜人が築き上げてきたこの横浜は、開港当時半農半魚の約100戸の村でしたが、現在18の区、約370万の人口を有する大都市と発展してきました。まちが大きいが故に私達が未だ知らない歴史や文化をはじめとした横浜の魅力を再発掘し、それと共に未だ気付かぬ横浜の新しい魅力を見つけ出し、それを私達が深化させ我がまちの誇れる魅力を市民へ広く発信する事によって、一人でも多くの人々が今まで以上に横浜を知る機会となり、未来が希望という灯で照られる様、運動を展開して参ります。

横浜の歴史を語る上で開港記念日である6月2日は横浜港が開港され今日の横浜を形成するに至った特別な日です。市民と共に「開港を祝い、港に感謝しよう」という目的のもと、1981年より開催されている横浜開港祭は本年で32回目を迎え、毎年多くの市民の皆様からご来場を頂いております。私はこの横浜開港祭を横浜青年会議所にとって効果的な運動発信の場と捉え、横浜の歴史や文化、未来へ向けた希望を多くの市民へ発信していきます。それと共に、企画段階よりその対象となる横浜青年会議所内の各委員会やそのメンバー同士が互いに委員会の垣根を越え横浜開港祭を創り上げていくという目標に向けて気持ちを一つにする事で組織活性化に繋げていきます。また、市民ボランティアの協力も頂き、横浜に夏の訪れを告げる風物詩としてこの市民祭が定着してきている事は事実ですが、横浜開港祭協議会として行政と更なる協力体制の下、企画との連携を強化する事により広く市民へ広報活動を展開し、「横浜開港祭ファン」の市民を更に増やす為、全力を注ぎます。協賛につきましては、経済状況を踏まえ、永続的に企業や市民の皆様から募る事が出来る新たな手法を取り入れ、市内へ展開していきます。

2013年、サマーコンファレンスの横浜開催は18回目を数えます。開港後、日本の玄関口の一つとして、様々な文物をいち早く取り入れる国際色豊かな都市として発展してきたこの横浜は新しい文明を全国へ発信してきた歴史があります。その横浜を日本青年会議所が最大の運動発信の場として選んで頂いている事に感謝しなければなりません。私達はこの恵まれた機会を通じ、全国より横浜に集う多くの各地青年会議所メンバーはもとより、横浜市内外よりご来場頂く全ての方に「横浜ファン」となって頂ける様、行政と連携し港町横浜らしい心に残るおもてなしを推進していきます。また、サマーコンファレンスの開催後、全国各地で影響力のある運動へと昇華させていくのはメンバーをはじめとしたご来場を頂く多くの参加者である為、開催地LOM である横浜青年会議所としてのネットワークを生かし行政や企業、学生、市民団体をはじめとした関係各所へ広報活動を積極的に展開し、開催に向けた市民動員を推進致します。また、マリンロビーや円形プラザを含む当日の会場外周部分についても日本青年会議所のサマーコンファレンス開催内容に沿った動員を図り、多くのご来場を頂ける様、効果的な運営を行います。

見識と繋がり

毎月に1度、メンバーが一同に会する例会。それは様々な分野で活動を続ける見識者の考え方や活動内容を学ぶ大きな機会でもあります。私は横浜青年会議所の魅力や進むべき道を自らの言葉で発信すると共に、1年間の事業スケジュールに合わせメンバーが各事業に臨む為の知識向上や自己研鑽の場になる様な例会を開催します。また、日本青年会議所や国際青年会議所が主催している各大会へ積極的に参加し、雰囲気の体感は勿論の事、様々なセミナーやフォーラムにて新しい学びを得る事が自己の視野を広げる一助になると考える為、参加促進に繋げる機会も設えていきます。

横浜青年会議所の更なる組織活性化の為には、縦としての組織の他、その垣根を越えたメンバー同士が横の繋がりを持つ事での顔と顔が見える関係、その縦と横の繋がりがある関係を作り、一体感の中で組織運営を行っていく事が必要と考えます。私達は日頃より会社や家族の理解を得て活動が行えている環境、そして最大の支援者である家族や周囲の関係者に対し、感謝の気持ちを忘れてはなりません。人は1人では生きられず、いつも自分の横にいるメンバーや家族をはじめとした周囲の人から支えられているからこそ、今を大切にする必要があるのです。

国際都市の雰囲気が漂う横浜、そこに構える私達の横浜青年会議所にとって国際青年会議所との交流による新たな見識を得る機会は各国の状況を学びメンバーの見識を広げる事に繋がり、また国内の友好関係にある各地青年会議所とも積極的に情報や意見交換を推進していく事で各地域での取り組みを理解し、それが私達のまち横浜にとって明るい豊かなまち実現へ向けたまちづくりやひとづくりの一助となります。中でも港を中心に発展を遂げてきた開港5港である都市と事業を通じた交流を図っていける様、新たな関係を構築していきます。

結束

横浜青年会議所にとっての財産は所属しているメンバーです。なぜなら、そのメンバー同士の繋がりである「和」は堀にも石垣にもなると共に、各々の力が未来へ向けた横浜青年会議所の発展、そして私達の愛するまち横浜を創り出す為の原動力となるからです。

近年、多くの市民活動団体が設立され、「過去はJCしか無かった時代から、現代はJCもある時代」へと変化してきています。そんな中、私は創造するべき価値や果たすべき役割は時代と共に変化しますが、それを考え抜く不断の努力、青年会議所メンバーとして果たすべき志、即ち青年会議所創始の精神は、常に変化してはいけないものであると信じています。

約400名が在籍する青年経済人の集合体である私達の団体は、そのメンバー各々が「明るい豊かな社会を築き上げよう」という志の下、変革の能動者として地域のリーダーとして青年会議所運動を行っています。このメンバーの自立した姿勢が組織の価値を高め、まちに必要とされる団体として存在を示す事に繋がっていくものであります。また、青年としての志を持ち、まちづくりやひとづくりに邁進する為にも、メンバー同士が組織の一員として、時には組織の垣根を越えたコミュニケーションを通じ、お互いの存在を認め合い、刺激し合い、競い合い、励まし合い、助け合い、共に生き抜く共助の精神が大切です。この自立と共助による組織としての結束こそ、明るい豊かな社会を築き上げる為の第一歩となります。

結びに

2004年に横浜青年会議所の門を叩いて以来、多くの先輩方や仲間達とのご縁を頂き、叱咤激励を頂いてきました。毎年違う役職を担い一段一段階段を登らせて頂いた経験の全てが私自身にとっての糧となり、私に横浜青年会議所の魅力を教えてくれました。その魅力とは自分自身が組織や仲間達、応援者や協力者と真剣に向き合う事で、心の醸成や人との繋がり、更に生まれ育ったまちの歴史を感じ、未来への創造を無限に膨らます事が出来る可能性がある事です。私達は先輩方が築き上げた伝統あるこの横浜青年会議所で多くの運動が行える事に対する感謝、また関係する全ての方々に支えて頂き今を生かされている事への感謝を忘れず、「己を律し、行動するJAYCEE」でなくてはなりません。

JCIミッションには、「青年が積極的な変革を創造し開拓するために、能動的な活動ができる機会を創造する」とあります。明るい豊かなまち横浜の実現の為、同じ志を持った青年として共に未来への道を切り拓き、そこに夢や希望を膨らませ、未来への活力と変えていきましょう。

一般社団法人 横浜青年会議所
第62代理事長
高見澤尚弘

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